2014年2月11日火曜日

散歩追考

パーカーを着て、その上に内側がフリース、外側がコットンとポリエステルの混合生地のブルゾンを羽織る。外は限りなく寒い。筋トレのように毎日を積み重ねていける人には、このようなどうしようもなく気持ちのふさぐ、雪が積もったあとの曇り空の一日でもなんてことないのだろう。うたかたの日々、ではないが、ただ泡がはじけるように一日一日をやり過ごす人間にとって、こういう日はちょっとこたえるものだ。まして、それがビールの泡ともなれば、もう目も当てられない。

散歩はいい。まず目的地を決める必要がないから気が楽だ。見慣れた道を歩くときは、考え事に集中することができるし、商店や家々のちょっとした変化を楽しみつつパトロールをして一仕事終えた気分にもなれる。あるラジオ番組で、久米宏と大滝詠一が仕事の定義について語っていて、物体がある地点からある地点へと動くこともひとつの仕事(単位はジュール)だと言っていたが、それにならえばこれも立派な仕事だ。

もちろん、知らない道を歩いてみるのもいい。ただし、やり過ぎないことが肝心である。僕なんかは、つい引き返すのが惜しくなってどんどん歩くうち、帰り方が分からなくなって、くたびれ果ててしまうことがある。

この前、といっても去年の九月のことだが、サンダル履きのままふらふらと夜道を歩いていたら、パトカーが寄ってきて職務質問されたあげく、軽く引ったくり犯の疑いをかけられてしまった。その犯人は白いTシャツにジーパン姿だったらしく、僕もちょうどそんな格好をしていたのだ(そんな人間そこら中にいるだろ!と思ったが、あいにくその夜はちょっと肌寒かった)。さすがに足下のサンダルを見て逃走中の犯人でないことがわかったらしく、謝って去っていたけれど、住所はしっかり聞かれた。散歩もいいことばかりじゃない。

さて、ブルゾンを羽織った僕は、自転車にまたがり、駅前のコーヒーチェーンへと向かった。散歩はその文字面とは裏腹に、大変包容力のある言葉なのだった。有意義で充実した一日の締めくくりとして、今日はビールを飲むか。

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