2014年8月4日月曜日

あの夏の日

自転車がびしょ濡れになってしまった。

学生であればもう夏休みなのだな、と近ごろ電車に乗っていて思う。都心の商業施設はいろんな国/郷里から来た人々でにぎわっている。片手にボストンバッグ、その反対の手には土産物を入れた紙袋。平均3袋ほど。爺さん婆さんは方言をみじんも隠そうとしない。いまや方言は礼賛される一方だ。電車のなかに大荷物を抱えた家族連れや、老人の団体が乗り込んできて、地元の電車やバスでするように(おそらく)、大声で自分たちの言葉を話す。さすがに、じぇじぇとは聞いたことがないけれど。

……
風が強くなったかと思うと、雨粒が一斉に地面を叩きつける。日本はもはや亜熱帯ではなく熱帯になったのではないかと言われて久しいが、たしかに近ごろ降る雨はみんなそんな感じだ。夕方だとか、関係ない。降れば大体、スコール。雨が地表にある様々なものを叩いて大きな音を出し、雷鳴が合いの手を入れてる感じ。駅の改札口や、スーパーの軒先や、図書館の入り口が、それが通りすぎるのを待つ人であふれるのも、もうおなじみの風景だ。

……
遠く花火の音が聞こえてくる。距離をはかるように耳を澄ませる。きっと、ここからは見えないだろう。ベランダに出ることなく、そう決めつける。花火は見るものだと思われているが、実は聴くものなんじゃないか。テレビの花火中継はなにか無粋なものを感じるけれど、ラジオで花火中継をしていたら案外、聴いてしまうかもしれない。まあ、これは一日机にかじりつき、休日を仕事でつぶした人間の負け惜しみでしかないけれど。空腹を感じて、立ち上がる。食料を買いに行こうと、財布を手に玄関の戸を開ける。

……
これは、いつかの日記。日をまたいで書かれるものも日記と呼んでいいのだろうか。あの日見た光景と、あの日あった出来事を未分化のまま書き連ねても。結局、あの夏の日というあいまいな呼び方をするしかない、一日の記憶が残ることになるのだとしたら。

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